退職代行で辞めたら退職証明書はもらえる?離職票との違いをQ&Aで整理
2026-10-02 執筆(労働基準法の条文は厚生労働省の法令等データベースで同日に実読して確認)
転職先から「前の会社の退職証明書を出してください」と言われて、退職代行で辞めた自分でももらえるのか不安になる人がいます。結論として、辞め方に関係なく、本人が請求すれば会社は退職証明書を交付しなければなりません。根拠は労働基準法22条1項で、会社は「遅滞なく」交付すると定められています。ただし、退職証明書は請求しないと届かない書類です。この記事では、請求のしかたと離職票との違いをQ&A形式で整理します。
Q. 退職代行でも会社は交付する?
交付します。労働基準法22条1項は、退職する労働者が証明書を請求した場合、使用者は「遅滞なく」交付しなければならないと定めています。条文には、退職の伝え方による例外は書かれていません。
会社が正当な理由なく交付しない場合、同法120条1号により30万円以下の罰金の対象になります。ただし、罰則は会社側の問題です。読者が最初にすることは、罰則を持ち出すことではなく、請求したことを記録に残すことです。
Q. 証明書に書いてもらえる項目は?
条文が挙げる項目は5つで、本人が選んだ項目だけが記載されます。同じ条文の3項が、労働者が請求していない事項を書くことを禁じているためです。
| 項目 | 記載される内容 |
|---|---|
| 使用期間 | 入社日から退職日までの在籍期間 |
| 業務の種類 | 担当していた仕事の内容 |
| その事業における地位 | 役職や立場 |
| 賃金 | 在籍中の給与の額など |
| 退職の事由 | 自己都合退職などの理由(解雇の場合はその理由を含む) |
転職先に在籍期間を示したいだけなら、「使用期間」と「業務の種類」だけを請求できます。退職理由を載せたくない人は、退職の事由を外して請求してください。退職理由の伝え方は退職代行で退職理由を伝えるかを整理した記事で詳しく扱っています。
同じ条文の4項は、証明書に「秘密の記号」を書き込むことも禁じています。再就職を妨げる目的で、第三者と示し合わせて書き込む行為が対象です。
Q. 離職票とは何が違う?
退職証明書は会社が作る書類で、離職票はハローワークが発行する書類です。使い道も根拠となる法律も別なので、片方を受け取ってももう片方の代わりにはなりません。
| 比べる点 | 退職証明書 | 離職票 |
|---|---|---|
| 作るところ | 会社 | ハローワーク(会社の手続きをもとに発行) |
| 根拠 | 労働基準法22条 | 雇用保険法と同法施行規則 |
| 主な使い道 | 転職先への提出など、在籍や退職を証明するとき | 失業保険(基本手当)の受給手続き |
| 受け取り方 | 本人が請求したときに交付 | 会社の手続きを経て本人に届く |
失業保険を受ける予定の人に必要なのは離職票です。受給までの流れは退職代行で辞めたあとの失業保険を整理した記事にまとめています。国民健康保険への切り替えで退職日を示す書類を求められた場合、どの書類で足りるかは市区町村によって違います。手続きの前に窓口へ確認してください。
Q. 業者経由で請求できる?
請求の希望を業者に伝えてもらうことはできます。依頼の最初の相談で、「退職証明書がほしいこと」と「記載してほしい項目」を業者に伝えておくと、退職の連絡と一緒に会社へ届きます。
ここで運営主体の違いが関わります。民間企業の業者ができるのは、本人の希望を会社へ伝えることまでです。会社が交付を渋って話し合いが必要になった場合、交渉できるのは団体交渉権を持つ労働組合と、弁護士に限られます。3つの運営主体の違いは労働組合・弁護士・民間の違いを比較した記事で表にしています。
本人が自分で請求する方法もあります。会社と直接話したくない場合は、郵送やメールで「労働基準法22条にもとづき、次の項目の退職証明書を請求します」と書いて送れば足ります。送付先の住所と請求日を書き添えて、送った文面の控えを残してください。
Q. 会社が出してくれないときは?
会社の所在地を管轄する労働基準監督署に相談します。相談の前に、次の3点を手元にそろえておくと話が早く進みます。
- 請求した日付と方法(業者経由か本人か)
- 請求した項目
- 会社からの返答の有無と内容(業者からの報告メッセージも含む)
業者経由で請求した場合は、業者から届いたLINEやメールの報告を消さずに保存してください。交渉が必要な段階になったら、労働組合運営か弁護士運営のサービスに切り替える選択肢もあります。
Q. いつまで請求できる?
時効を定める労働基準法115条は、賃金以外の請求権の時効を2年としています。退職証明書の請求もこの2年の枠で扱うのが一般的な解釈です。転職のたびに必要になる書類ではありませんが、退職後すぐに転職の予定がない人も、在籍の記録として早めに1通もらっておくと後で困りません。
Q. 依頼前に伝えておくことは?
書類のトラブルは、依頼の時点で希望を伝えておくと起きにくくなります。業者への最初の相談で、次の3点を伝えてください。
- 退職証明書がほしいことと、記載してほしい項目
- 書類の送付先の住所(引っ越し予定があれば新しい住所も)
- 離職票・源泉徴収票もあわせて郵送してほしいこと
退職後に届く書類と返却物の全体像は退職代行のその後を整理した記事で一覧にしています。源泉徴収票が届かない場合の対処は源泉徴収票がもらえないときの記事で扱っています。
会社が書類の交付に応じにくい職場なら、交渉ができる運営主体を選ぶ理由になります。労働組合が運営するサービスの一覧と弁護士法人が運営するサービスの一覧で、対応範囲と料金を公式サイトの確認値で比べられます。
この記事で確認した一次情報
2026年10月2日に実読して確認しました。
- 労働基準法22条・115条・120条(厚生労働省 法令等データベース https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73022000&dataType=0&pageNo=1)