退職代行を2回使ってもいい?2回目で見直す3つの点
2026-09-25 執筆
前の会社を退職代行で辞め、転職先でもまた辞めたくなった。「2回も使うのは許されるのか」「前にも使ったことが今の会社に知られているのでは」と迷う人に向けて、判断材料を整理します。
先に結論を書くと、退職代行を2回使うことに法律上の回数制限はありません。この記事でわかることは次の3点です。
- 2回目でも退職の権利が変わらない理由
- 前職で使ったことが次の会社に伝わる経路
- 2回目で見直したい運営主体・雇用保険・料金
結論は回数の制限なし
退職の意思表示は、何回目の転職でも同じ条件で認められます。民法627条は、期間の定めのない雇用なら申し入れから2週間で雇用が終わると定めています。この条文に「過去に退職代行を使った人は除く」といった条件はありません。
退職代行は、本人の退職の意思を会社へ伝えるサービスです。1回目か2回目かで、伝える中身の法的な重みは変わりません。契約社員など期間の定めがある雇用では、途中退職に民法628条の「やむを得ない事由」が関わります。この点は1回目と同じ扱いです。詳しくは契約社員・派遣の退職代行で整理しています。
前職での利用が伝わる経路
前の会社が「退職代行で辞めた」という情報を、次の会社へ伝える決まった仕組みはありません。個人情報保護法27条は、本人の同意なく個人データを第三者へ渡すことを原則として禁じています。
ただし、伝わる可能性がゼロとは言えません。考えられる経路は次のとおりです。
- 同じ業界内の知人や取引先を通じた人づて
- 前職調査(リファレンスチェック)に本人が同意した場合
- 本人がSNSや面接で話した場合
会社や家族に伝わる場面の全体像は、退職代行はバレる?で表にまとめています。
見直す点1 運営主体
2回目は、1回目で困ったことを基準に運営主体を選び直せます。前回「有給を使えなかった」「未払いの残業代が残った」という経験があるなら、民間運営では同じ結果になりやすいからです。民間企業は退職の意思を伝えることしかできず、会社との交渉は弁護士法72条の非弁行為にあたるおそれがあります。
| 1回目で困ったこと | 2回目に検討する運営主体 |
|---|---|
| 特になし(伝えるだけで足りた) | 民間・労働組合・弁護士のいずれも候補 |
| 有給消化や退職日の調整ができなかった | 団体交渉ができる労働組合、または弁護士 |
| 未払い賃金が残った・損害賠償を持ち出された | 交渉と法的手続きまで扱える弁護士 |
運営主体ごとの対応範囲は3類型の比較表で確認できます。
見直す点2 雇用保険の加入期間
短い在籍で辞めると、失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取れない場合があります。ハローワークの説明では、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。倒産・解雇などの特定受給資格者や特定理由離職者は、離職の日以前1年間に通算6か月以上で受給資格が認められます。
前職の加入期間は、条件を満たせば通算できる場合があります。ただし、前職の離職で基本手当の受給資格を得ていた場合は、その前の期間は通算されません。自分が当てはまるかは、ハローワークで離職票を見せて確認するのが確実です。受給までの流れは退職代行で辞めたら失業保険はどうなる?にまとめています。
見直す点3 2回目の料金
2回目以降の料金を公式に示している業者もあります。当サイトの業者DBでは、退職代行EXIT(民間運営)がその1社です。公式サイトの記載は初回15,000円、2回目以降10,000円です(2026-09-18時点の公式サイト確認値)。
業者DBに登録している他社について、2回目以降の料金の記載は確認できていません。前回と同じ業者に頼む場合は、相談の段階で料金の違いがあるかを聞いておくと手戻りがありません。雇用形態ごとの料金は料金順の一覧で比べられます。
在籍6か月未満なら有給はまだない
入社して半年たたずに辞める場合、年次有給休暇がまだ付与されていないことがあります。労働基準法39条は、雇い入れから6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した人に有給を付与すると定めています。
有給がない状態で退職代行を使うと、退職日までの2週間は欠勤扱いになるのが一般的です。欠勤分の給料は差し引かれる場合があります。1回目は有給消化で退職日まで休めた人ほど、2回目との違いに戸惑いやすい部分です。
会社によっては入社日に有給を前倒しで付与している場合もあります。給与明細や就業規則で残日数を確認してから依頼すると、退職日までのお金の見通しが立ちます。有給がない場合の扱いは有給がなくても退職代行は使える?で詳しく整理しています。
面接で辞め方を聞かれたとき
退職代行を使ったこと自体を、次の応募先へ申告する法律上の義務はありません。一方で、在籍期間や職歴を事実と違う内容で書くのは経歴詐称にあたり、別の問題になります。
面接で聞かれやすいのは「なぜ短期間で辞めたのか」です。退職の手段より、退職の理由と次の職場で何を変えたいかを自分の言葉で説明できるようにしておくと、答えがぶれません。会社への退職理由の伝え方は退職理由は伝える?で整理しています。