退職代行で辞めたあとの健康保険は?任意継続・国保・扶養を表で比較
2026-10-09 執筆
退職代行で辞めても、健康保険の扱いは自分で伝えて辞めた場合と変わりません。会社の健康保険は退職日の翌日に資格を失い、そこから先は「任意継続」「国民健康保険」「家族の扶養」の3つから選びます。
どれを選んでも手続きは自分で進めます。業者が代わりに加入手続きをするわけではありません。ただし、手続きに必要な書類を会社へ頼む連絡は、退職の連絡とあわせて業者に伝えてもらえます。この記事では3つの選択肢を表で比べ、期限と必要な書類を順に示します。
3つの選択肢の比較表
まず全体像です。次の表は、一般的な制度の内容を整理したものです。
| 選択肢 | 手続き先 | 期限の目安 | 保険料の考え方 |
|---|---|---|---|
| 任意継続 | 退職した会社の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合) | 資格を失った日から20日以内 | 会社の負担分がなくなり、全額を自分で払う |
| 国民健康保険 | 住んでいる市区町村の窓口 | 資格を失った日から14日以内 | 前年の所得などをもとに市区町村が計算する |
| 家族の扶養 | 家族の勤務先(家族が入っている健康保険) | 家族の勤務先の定めによる | 本人の保険料はかからない |
任意継続は、退職日までに続けて2か月以上加入していた人が使えます。加入できる期間は最長2年です。国民健康保険は、ほかに入る保険がない人が加入する受け皿にあたります。
任意継続が向いている人
任意継続は、扶養している家族がいる人や、在職中の給料が高めだった人が比べる価値のある制度です。家族を扶養に入れたまま続けられるからです。
保険料は、在職中に会社が負担していた分もあわせて自分で払う形になります。そのため在職中の天引き額より高くなるのが一般的です。ただし、保険料の計算に使う金額には上限があるため、給料が高かった人ほど国民健康保険より安くなる場合があります。
注意したいのは期限です。20日を過ぎると原則として加入できません。退職代行で辞める人は、会社と直接やり取りしないぶん書類が届くのを待ちがちです。任意継続の申出書は、会社を通さずに健康保険の窓口から取り寄せられる場合が多いため、退職日が決まった時点で動き始めます。
国民健康保険が向いている人
国民健康保険は、扶養する家族がいない人や、前年の所得が少なかった人が比べる候補です。保険料が前年の所得をもとに決まるため、所得が少なければ保険料も下がります。
加入の手続きでは、会社の健康保険をやめたことがわかる書類を求められるのが一般的です。代表的なものが「健康保険資格喪失証明書」で、会社が発行します。
倒産や解雇など、会社の都合で離職した人には保険料の軽減制度があります。自分の都合で辞めた場合は原則として対象外です。体調などの理由によっては対象になることもあるため、離職票を持って市区町村の窓口で確認します。失業給付の手続きは退職代行で辞めたら失業保険はどうなる?で順を追って整理しています。
家族の扶養に入れる条件
家族の扶養に入れると、本人の保険料はかかりません。そのかわり収入の条件があります。
一般的な目安は、これから先1年間の収入の見込みが130万円未満であることです。60歳以上の人や障害のある人は180万円未満が目安になります。失業給付も収入として数えるため、給付を受けている間は扶養に入れない場合があります。細かな基準は健康保険ごとに違うので、家族の勤務先を通じて確認します。
会社に頼む書類と伝え方
退職代行に依頼するときは、退職の連絡とあわせて「健康保険の書類を郵送してほしい」と業者に伝えてもらいます。書類の送付を頼むのは本人の意思の伝達なので、どの運営主体でも伝えられます。
| 書類 | 使う場面 | 依頼時に添えること |
|---|---|---|
| 健康保険資格喪失証明書 | 国民健康保険や家族の扶養に入るとき | 郵送してほしいこと |
| 離職票 | 失業給付、保険料軽減の確認 | 離職票の発行を希望すること |
| 返却する健康保険証など | 会社へ返すもの | 郵送で返すこと |
返送先の住所も忘れずに伝えます。会社に登録した住所から引っ越している場合は、今の住所を明記します。返すものと届くものの全体は退職代行のその後の表で確認できます。
会社が書類を送ってこないときに、送付を求めて話し合いを重ねる段階は「交渉」にあたります。民間企業の運営はそこから先を担えず、労働組合や弁護士の運営なら対応できます。3類型の違いは労働組合と弁護士、民間は何が違う?で比べています。労働組合が運営する業者は労働組合が運営する退職代行の一覧で組合名と料金を確認できます。
切り替え前に病院へ行くときの扱い
退職日の翌日以降は、会社の健康保険では受診できません。次の保険の手続きが済む前に病院へ行くと、窓口でいったん全額を払うことがあります。
国民健康保険の加入日は、届け出た日ではなく資格を失った日にさかのぼります。そのため、あとから払い戻しを申請できるのが一般的です。領収書は捨てずに残しておきます。退職日がいつになるかで切り替えの日も決まるため、日付の数え方は退職代行で辞めると退職日はいつ?で確認できます。
年金の切り替えも同じ時期に
健康保険とあわせて、年金の切り替えも必要です。すぐに次の会社へ入らない場合は、市区町村の窓口で国民年金への切り替えを届け出ます。期限の目安は14日以内です。
配偶者の扶養に入る場合は、配偶者の勤務先を通じて手続きをします。国民健康保険と国民年金は同じ市区町村の窓口で続けて届け出られることが多いため、1回で済ませると手間が減ります。