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退職代行と「バックレ」は何が違う?無断欠勤で辞めた場合に起きること

2026-08-28 執筆

結論から書きます。無断欠勤(いわゆるバックレ)と退職代行の決定的な違いは、「退職します」という意思を会社に伝えているかどうかです。ここが違うだけで、そのあとに起きることが大きく変わります。どちらも「もう会社に行かない」という点では同じに見えますが、法律上はまったく別の状態なのです。

バックレは「辞めた」ことにならない

民法627条は、期間の定めのない雇用について「各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」「解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定めています。つまり、退職は意思表示をして初めて手続きが動き出すものです。

連絡をせずに出社をやめただけでは、この意思表示がありません。会社から見ると「退職した人」ではなく「連絡が取れないまま欠勤が続いている社員」です。雇用契約は続いたままなので、会社は本人に連絡を取ろうとしますし、退職手続きも始まりません。

一方、退職代行は、この「退職の意思を伝える」部分を本人の代わりに行うサービスです。伝わった時点から2週間の起算が始まり、会社側も退職手続きに入れます。退職代行の基本的なしくみも、あくまでこの意思の伝達が中心です。

その後に起きることの違い

項目無断欠勤(バックレ)退職代行を使った場合
退職の意思表示していない業者を通じて会社に伝わる
雇用契約の扱い継続したまま(欠勤扱い)意思表示から所定の期間の経過で終了
会社からの連絡本人・緊急連絡先へ続く可能性連絡窓口を業者にする運用が一般的
離職票・源泉徴収票退職処理が進まず遅れがち退職日が確定するため手続きに進める
貸与品の返却・私物未処理のまま残る返却方法を伝えたうえで郵送等で対応

特に見落とされやすいのが書類です。離職票は失業給付の手続きに、源泉徴収票は確定申告や転職先での年末調整に使います。退職日が決まらないとこれらの発行が進まず、次の生活の手続きで困ることになります。退職後にどんな書類が届くかは退職代行のその後の手続きにまとめています。

無断欠勤が続くと何が起きうるか

ここからは一般論としての整理です。実際にどうなるかは、就業規則の内容や会社の対応によって変わります。

  • 連絡が本人以外に及ぶことがある:会社は安否確認のため、履歴書等に記載された緊急連絡先(実家など)へ連絡することがあります。「誰にも知られたくない」という目的からは、かえって遠ざかる可能性があります。
  • 欠勤が続けば懲戒の対象になりうる:多くの就業規則には無断欠勤に関する規定があります。実際に処分が行われるかは会社次第ですが、自分から辞める場合と扱いが変わることは知っておいたほうがよいでしょう。
  • 社会保険や住民税の切り替えが止まる:退職日が確定しないと、健康保険の切り替えなど自分側の手続きも進められません。
  • 損害賠償を持ち出されることがある:会社から賠償の話が出るケースはありますが、実際に請求が認められるかどうかは、損害の内容や因果関係など個別の事情によって判断されます。金額を提示されたからといって、そのまま支払い義務が生じるとは限りません。不安な場合は自己判断せず、専門窓口に相談してください。

「もう出社できない」なら、意思表示だけは残す

大事なのは「明日から出社する」ことではなく、「辞めますと伝える」ことです。意思表示が会社に届いていれば、出社しない期間は有給消化や欠勤として整理でき、退職日も決まります。自分で伝えられそうなら、退職届を自分で出す方法で足ります。費用もかかりません。

電話も郵送もつらい、あるいは会社から強い反応が予想される——そんなときの選択肢が退職代行です。依頼後に会社から本人に連絡が来た場合の考え方は会社から電話が来たときの対処で整理しています。

なお、退職代行を選ぶ際は運営主体の確認が欠かせません。民間企業の運営は退職意思の伝達までで、会社との交渉はできません。有給の消化や未払い賃金など話し合いが必要なことがあるなら、団体交渉権を持つ労働組合の運営や、法的手続きまで対応できる弁護士の運営が対象になります。労働組合が運営するサービスの一覧で、運営主体と料金を客観条件から確認できます。

本記事は法律や一般的な取り扱いを整理したものであり、個別の状況への当てはめは会社の就業規則や事情によって異なります。損害賠償の請求を受けている場合や、賃金の未払い・ハラスメントが絡む場合は、弁護士運営のサービスや労働基準監督署などの公的な相談窓口の利用も検討してください。