出向中でも退職代行は使える?出向元と出向先への伝え方を表で整理
2026-11-06 執筆
グループ会社や取引先へ出向していると、「辞めたいけれど、どちらの会社に言えばいいのか」で手が止まりがちです。
出向中でも退職代行は使えます。在籍出向なら、退職の意思を伝える相手は雇用契約を結んでいる出向元です。転籍(移籍出向)の場合は、転籍先の会社が相手になります。
ただし出向中は、給料の支払元や貸与品の持ち主が2社に分かれていることがあります。依頼前に2社の情報をそろえておくと、退職代行からの連絡がスムーズに進みます。
出向の形で変わる退職の伝え先
退職の意思を伝える相手は、いま雇用契約を結んでいる会社です。出向の形ごとに、相手は次のとおり変わります。
| 出向の形 | 雇用契約の相手 | 退職の意思を伝える先 |
|---|---|---|
| 在籍出向 | 出向元との契約が続いたまま出向先でも働く | 出向元(出向先にも連絡が要る) |
| 転籍(移籍出向) | 出向元との契約は終わり、転籍先と新たに契約 | 転籍先 |
自分がどちらに当たるかは、出向のときに受け取った辞令や出向同意書で確かめられます。「出向元を退職」「転籍先に入社」といった書き方なら転籍です。書面が見当たらない場合は、給与明細の会社名と、入社時に結んだ雇用契約書の会社名を見比べてください。
在籍出向で退職代行が連絡する順番
在籍出向では、退職代行はまず出向元へ退職の意思を伝えます。出向先の上司に先に伝えても、雇用主である出向元に届かなければ退職の手続きは進みません。
出向先へは、出向元から連絡が行くのが一般的な流れです。退職代行によっては、出向先にも「本人は出社しない」と伝えてもらえるかを依頼時に相談できます。連絡先をどこまで伝えるかは、業者との相談で決めます。
期間の定めのない雇用なら、民法627条により、退職の意思を伝えてから2週間で雇用は終わります。出向元と出向先の間で決めた「出向期間」は会社どうしの取り決めです。出向期間が残っていることだけを理由に、本人の退職を止められるわけではないというのが一般論です。契約社員など期間の定めがある雇用は、民法628条の「やむを得ない事由」が原則として必要です。退職日の決まり方は退職日を表で整理した記事にまとめています。
給料・保険・貸与品のやり取り先
出向中は、手続きごとにやり取りする会社が分かれることがあります。在籍出向で確かめておきたい項目を表にしました。
| 項目 | やり取りする会社の目安 | 確かめる書類 |
|---|---|---|
| 最後の給料 | 給料を払っている会社 | 給与明細の会社名 |
| 源泉徴収票 | 給料を払っている会社 | 給与明細の会社名 |
| 健康保険・厚生年金の資格喪失 | 加入している会社 | 健康保険証の事業所名 |
| 離職票(雇用保険) | 雇用保険に加入している会社 | 雇用保険被保険者証 |
| パソコン・入館証などの貸与品 | 貸した会社(出向先のものは出向先) | 貸与時の受領書・管理番号 |
| 有給休暇の残日数 | 出向の取り決めで決まる | 勤怠システムや給与明細の残日数 |
給料を出向元が払うか出向先が払うかは、出向元と出向先の契約で決まります。給与明細の会社名と保険証の事業所名が違う場合は、両方を退職代行に伝えてください。
貸与品は、出向先のパソコンを出向元へ送ると返却が遅れる原因になります。返す相手ごとに分けて郵送しましょう。返し方の手順は貸与品と書類の返却手順の記事で解説しています。
依頼前に業者へ伝える情報
出向中の人は、通常の依頼より伝える情報が増えます。次の5点をメモにまとめておくと、退職代行が連絡先を間違えずに済みます。
- 出向元と出向先の会社名・所在地・代表電話
- 出向の形(在籍出向か転籍か)と、出向が始まった時期
- 給与明細に書かれている会社名
- 健康保険証の事業所名
- どちらの会社から何を借りているか(パソコン・社用携帯・入館証など)
出向元の人事担当者と出向先の上司、どちらの名前が分かるかも書いておくと役立ちます。準備メモの全体像は依頼前の情報メモの記事にまとめています。
交渉が要るなら運営主体を確認
出向中の退職では、有給休暇の残日数や最後の給料の計算で、出向元と出向先の言い分が食い違うことがあります。会社と話し合う「交渉」が必要になったとき、頼める範囲は運営主体で変わります。
| 運営主体 | 出向中の退職でできること |
|---|---|
| 民間企業 | 退職の意思の伝達のみ。有給や給料の交渉はできない |
| 労働組合 | 伝達に加え、団体交渉権に基づき有給消化や未払金の交渉ができる |
| 弁護士 | 伝達と交渉に加え、訴訟などの法的手続きまで対応できる |
民間企業の退職代行は、弁護士法72条との関係で交渉に踏み込めません。有給を使い切りたい場合や、出向先での残業代に未払いがある場合が当てはまります。この2つに当てはまるなら、最初から労働組合か弁護士の運営を選ぶと話が途中で止まりません。3類型の違いは労働組合・弁護士・民間の違いを比べた記事で表にしています。運営主体・料金・交渉の可否は、公式サイトの確認値を業者を条件で比較するページに並べています。