家族が代わりに退職代行を頼める?本人の意思確認と進め方
2026-10-25 執筆
子どもや配偶者が仕事でつらそうにしていると、家族が退職代行を探して申し込みたくなることがあります。
結論から言うと、家族は相談・情報の整理・支払いなどを手伝えます。ただし「辞める」と決めて会社に伝えてもらうのは、あくまで本人の意思です。本人が辞めると決めていない段階で、家族だけの判断で会社へ連絡してもらうことはできないと考えてください。
本記事では、本人の意思が必要な理由と、家族が手伝える範囲を分けて整理します。
決めるのは本人で家族は手伝う役
退職代行の役割は、本人が決めた退職の意思を会社へ伝えることです。業者が退職を決めるわけでも、家族が決めるわけでもありません。
家族が先に業者へ問い合わせること自体は問題ありません。料金や流れを調べておけば、本人が決断したときにすぐ動けます。会社への連絡を頼む段階では、本人が「辞めたい」と自分で伝えられる状態になっている必要があります。
本人の意思が必要な法律上の理由
退職は、雇用契約を結んでいる本人がする意思表示です。期間の定めのない雇用について、民法627条は「各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」と定めています。ここでいう当事者は、働く本人と会社です。
民法には、本人から代理の権限を与えられた人が本人に代わって意思表示をする「代理」の規定もあります(民法99条)。一方で、権限を与えられていない人が本人に代わってした行為は、原則として本人に効力が及びません(民法113条・118条)。家族が本人に黙って退職を申し入れても、法律上は本人の退職として扱われない可能性がある、というのが一般論です。
実務の面でも問題が残ります。退職後の書類の受け取りや貸与物の返却、有給の希望を伝える場面では、本人の確認が欠かせません。
家族ができることと本人がやること
役割を分けておくと、本人の負担を減らしながら進められます。
| 場面 | 家族が手伝えること | 本人がやること |
|---|---|---|
| 業者探し | 運営主体・料金・対応時間を調べて候補を絞る | 候補から依頼先を決める |
| 無料相談 | 聞きたいことを一緒にまとめる・横で相談に付き添う | 辞めたい意思と希望の退職日を伝える |
| 依頼前の準備 | 雇用形態・有給の残り・貸与物などのメモを手伝う | 内容に間違いがないか確かめる |
| 支払い | 費用を援助する(家族名義で払えるかは業者に確認) | 契約内容を確認する |
| 退職後 | 貸与物の梱包・郵送や届いた書類の整理を手伝う | 書類の中身を確かめ、保険や年金の手続きをする |
依頼前に業者へ伝える情報は退職代行に伝える情報メモの記事にまとめています。家族が一緒に書き出すときの下書きとして使えます。
家族が避けたい3つのこと
手伝うつもりでも、次の行動は本人と業者の両方を困らせます。
- 本人に黙って申し込み、会社への連絡まで頼んでしまう
- 本人のふりをして業者とLINEやメールでやり取りする
- 本人が迷っている段階で「もう頼んだから」と決断を急がせる
本人のふりをしたやり取りは、退職日の希望や有給の扱いが本人の考えとずれる原因になります。本人が迷っているなら、退職代行を使わない選択も含めて話し合う時間をとってください。
本人が電話できないほどつらいとき
本人が電話で話せない状態でも、LINEやメールで短く意思を伝えられれば依頼を進められる場合があります。LINEで相談・やり取りできる業者はLINE対応の業者一覧で確認できます。
本人確認の方法や、家族がどこまでやり取りに入れるかは業者ごとに違います。当サイトの業者データには、家族からの申し込みの可否を載せていません。無料相談で「家族が付き添ってよいか」「連絡は本人の名前で必要か」を直接聞いてください。
体調不良で休んでいる最中の進め方は休職中の退職代行の記事で扱っています。体調に関わる判断は、主治医にも相談してください。
本人が未成年の場合は親の関わりが増える
本人が18歳未満のアルバイトなどの場合は、業者によって親の同意を求められることがあります。未成年の人の進め方は未成年・高校生のバイトの退職代行の記事にまとめました。
依頼先は交渉の有無で選ぶ
家族が業者を調べるときは、まず運営主体を確認してください。民間企業の業者ができるのは、退職の意思を伝えることだけです。有給消化や未払いの給料について会社と話し合う「交渉」が必要なら、労働組合か弁護士の運営する業者が依頼先になります。弁護士に頼む場合、委任契約を結ぶのは依頼者である本人です。
3つの運営主体の違いは労働組合・弁護士・民間の違いを比べた記事で表にしています。業者ごとの運営主体・料金・交渉の可否は、公式サイトの確認値を条件別の比較ページに並べました。