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休職中でも退職代行は使える?体調がつらいときの進め方と注意点

2026-08-25 執筆

休職している間に「もうこの会社には戻れないかもしれない」と感じることがあります。ただ、休職中は上司との連絡そのものが負担になりやすく、退職を切り出すのがむずかしいという声もよく聞きます。この記事では、休職中に退職代行を使う場合の考え方を、法律上のしくみと「代行が担える範囲・自分で進める範囲」の切り分けから整理します。

結論——休職中でも退職の意思表示のしくみは変わらない

先に結論を書きます。休職中であっても、退職の意思を会社に伝えることはできます。休職は「在籍したまま働くことを免除されている状態」であって、退職の権利が止まっているわけではないからです。したがって、その意思表示を本人に代わって伝える退職代行も、休職中だからという理由で使えなくなることはありません。

ただし、休職中ならではの注意点が3つあります。ひとつめは、健康保険や年金などお金や制度に関わる手続きは、退職代行のサービス範囲外であることが多いという点。ふたつめは、有給の残日数や未払い賃金の話に踏み込む場合、運営主体によって対応できる範囲が違うという点。みっつめは、休職の連絡窓口が人事になっているケースがあり、誰に連絡が行くのかを依頼時に共有しておくと行き違いが減るという点です。

法律上の位置づけ——民法627条は休職中でも同じ

期間の定めのない雇用(いわゆる正社員など)については、民法627条が「各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」「解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定めています。この条文は、働いている最中か休職中かで区別していません。つまり、休職中に退職を申し入れた場合も、原則として2週間の経過で雇用は終了するという枠組みは同じです。

契約社員など期間の定めがある雇用では、民法628条の「やむを得ない事由」があるときに直ちに契約を解除できる、という別のルールが関わります。これは一般論の整理で、個別の事情がどう評価されるかはケースによります。運営主体ごとの対応範囲の違いとあわせて確認してください。

なお、就業規則に「休職期間が満了しても復職できない場合は退職とする」といった定めが置かれていることがあります。これは会社側の取り扱いを決めた社内ルールで、本人から退職を申し入れる権利を制限するものではありません。

退職代行が担える部分・自分で進める部分

休職中の退職では、「会社とのやり取り」と「制度の手続き」が混ざりがちです。混乱を避けるために、担当が分かれる部分を表にしました。

やること担当補足
会社への退職意思の連絡退職代行すべての運営主体が対応できる基本の役割
会社からの連絡の受け止め退職代行本人へ直接連絡しないよう伝えてもらう形が一般的
有給消化や未払い賃金の話し合い労働組合運営・弁護士運営「交渉」にあたるため民間運営では対応できない
離職票・源泉徴収票などの書類の送付依頼退職代行(依頼の伝達)発行そのものは会社が行う
健康保険の切り替え(国保加入・任意継続など)自分市区町村や健康保険組合の窓口で手続き
傷病手当金など保険給付に関する手続き自分(必要に応じて専門窓口)健康保険の制度であり、退職代行のサービス範囲外
失業給付の手続き自分ハローワークで離職票をもとに手続き

いちばん誤解が生まれやすいのが、傷病手当金のような保険給付の扱いです。これは健康保険の制度に基づく給付で、申請の可否や条件は加入先と個別の状況によって決まります。退職代行に頼めば手続きまで進むわけではないため、条件や進め方は健康保険組合・協会けんぽや年金事務所などの公的な窓口に直接確認してください。

交渉が絡むかどうかで、選ぶ相手が変わる

休職中の退職では、有給の残日数をどう扱うか、休職前の残業代が未払いになっていないか、といった論点が出てくることがあります。この「話し合い」の部分で、運営主体によってできることがはっきり分かれます。

民間企業が運営する退職代行は、退職の意思を伝えることはできますが、会社との交渉はできません。弁護士でない者が報酬を得て法律事務に関わる交渉を行うことは、弁護士法72条が禁じる非弁行為にあたるおそれがあるためです。労働組合が運営するサービスは団体交渉権にもとづく話し合いができ、弁護士が運営するサービスであれば訴訟などの法的手続きまで対応できます。

逆に「意思を伝えてもらうだけでよい」という状況なら、選択肢は広がります。どこまでの対応が必要かを先に決めてから探すと迷いにくくなります。有給の扱いについては退職代行で有給は取れる?で詳しく整理しています。交渉まで任せたい場合の候補は、労働組合が運営するサービスの一覧で運営主体と料金を確認できます。

依頼前にそろえておくと話が早いもの

体調がすぐれないときに情報を集めるのは負担になります。とはいえ、次の4点が手元にあると、相談から連絡までが短時間で済むことが多いです。

  • 会社名・部署・自分の社員番号
  • 休職の連絡窓口になっている担当者や部署(人事なのか、直属の上司なのか)
  • 就業規則のうち退職・休職に関する条文(手元にあるものだけで構いません)
  • 有給の残日数と、退職希望日の目安

すべてそろわなくても相談はできます。分からない項目は「不明」と伝えて構いません。会社に問い合わせないと分からない情報を無理に取りにいくと、その連絡がきっかけで負担が増えることもあります。

会社から連絡が来たときの扱いを決めておく

休職中は会社と定期的に連絡を取っていたケースが少なくありません。そのため退職の連絡をした後も、これまでの流れで会社から直接電話やメールが届くことがあります。依頼の時点で「本人への直接連絡は控えてほしい」と伝えてもらうよう共有しておくと、行き違いが減ります。

それでも連絡が来た場合の考え方は退職代行のあとに会社から電話が来たら?で整理しています。基本は自分で対応せず依頼先に共有する流れです。会社側に悪意はなく、単に社内の連絡ルートが切り替わっていないだけということもあります。

退職日と休職期間の関係を確認しておく

休職には期間が定められていることが多く、その満了日より前に自分から退職を申し入れるのか、満了を待つのかで、社会保険の資格を失う日や会社から書類が届くタイミングが変わります。どちらが都合がよいかは加入している健康保険や収入の状況によって変わるため、一律の正解はありません。相談時に「休職中であること」と「休職期間の満了日」を最初に伝えておくと、話が具体的になります。

本記事は一般的な情報の整理であり、休職の取り扱いは会社の就業規則によって、保険給付の条件は加入する健康保険によって異なります。体調に関わる判断は主治医に、傷病手当金など保険給付の条件は加入先の健康保険組合・協会けんぽや年金事務所に、法的な争点がある場合は弁護士や労働局の総合労働相談コーナーなど公的な窓口にご確認ください。