退職代行を使うとき退職届は必要?退職願との違いと出し方をQ&Aで整理
2026-09-22 執筆
退職代行に頼んだら、退職届まで代わりに出してもらえるのでしょうか。結論から書くと、退職届は本人の名前で出す書面なので、書いて送るのは本人です。退職代行が担うのは、退職の意思を会社へ伝える連絡のほうになります。この記事で整理するのは次の3点です。
- 退職届が必要かどうかと、退職願・辞表との違い
- 出すタイミングと郵送の方法
- 会社が受け取りを拒んだときの法律上の扱い
Q. 退職代行を使っても退職届は必要?
A. 法律上は必須ではありませんが、出しておくほうが手続きは進みます。民法627条は退職の申し入れに書面を求めていません。電話や口頭で伝えた意思表示も有効です。
ただし会社側は、退職手続きを進めるときに本人名義の書面を求めることがあります。退職日をいつと決めたのかを、あとから確認できる記録にもなります。退職代行では、会社への連絡のあとに本人が退職届を郵送する形が多くとられます。
Q. 退職届は誰が書いて出す?
A. 本人です。退職届は「退職します」と本人の名前で示す書面なので、氏名を書いて差し出すのは本人になります。業者が代わりに署名した書面を出すわけではありません。
退職代行が引き受けるのは、会社への連絡と、その後のやり取りの窓口です。宛名を誰にするか、どこへ送るかがわからないときは、依頼先に確認して指示を受けられます。
Q. 退職願・退職届・辞表の違いは?
A. 3つは法律上の位置づけが違います。
| 書面 | 意味 | 撤回の扱い |
|---|---|---|
| 退職願 | 退職させてほしいという申し出 | 会社が承諾する前なら撤回できる余地がある |
| 退職届 | 退職するという一方的な意思表示 | 会社に届いたあとの撤回は原則できない |
| 辞表 | 役員や公務員が辞任を申し出る書面 | 立場ごとの規程にもとづく手続きになる |
退職代行で辞めるときに使うのは退職届です。会社の承諾を待つ前提の退職願とは、意思表示としての強さが違います。以上は一般論で、呼び方や様式を就業規則で定めている会社もあります。
Q. 出すタイミングはいつ?
A. 業者が会社へ連絡したあとです。先に退職届だけが届くと、会社が本人へ直接電話をかけてくる場面が生まれます。
書き込む退職日の基準は民法627条です。期間の定めのない雇用では、解約の申し入れから2週間が過ぎた時点で雇用が終わります。有給を消化してから辞めるなら、消化しきる日を退職日として書くのが通常の形です。残日数によって日付が動くため、記入前に依頼先と合わせます。
Q. どうやって会社へ送る?
A. 郵送です。出社しないまま辞めるため、手渡しは想定しません。送り方は3つあります。
- 普通郵便——費用は最も低い。届いたことの記録は残らない
- 特定記録郵便・簡易書留——差し出しと配達の記録が郵便局に残る
- 内容証明郵便——文面と差出日を郵便局が証明する。受け取りを拒まれそうなときに使う
社員証や制服を返す場合は、退職届を同封して一度の発送にまとめられます。会社から送り先の指定があったときは、その宛先に従います。
Q. 受け取りを拒まれたら?
A. 会社に届いた時点で意思表示の効力が生じます。民法97条1項は、意思表示は通知が相手方に到達したときから効力を生ずると定めています。
「受理しない」と言われても、届いた事実そのものは変わりません。もめそうな相手には、到達の記録が残る送り方を選んでおくと、いつ届いたかを示せます。
Q. 退職理由は何と書く?
A. 「一身上の都合により」で足ります。理由を細かく書く義務はありません。
気をつけたいのは、退職届に書く理由と、失業給付の手続きで使う離職理由が別物である点です。離職理由はハローワークが離職票をもとに判断します。給付制限の有無が気になる場合は退職代行で辞めたら失業保険はどうなる?で確認できます。
運営主体で変わる対応範囲
退職届を出す行為そのものは本人の手続きなので、運営主体では変わりません。分かれるのは、退職日や有給の扱いを会社と話し合えるかどうかです。
| 運営主体 | 退職意思の伝達 | 退職日・有給の交渉 | 訴訟などの法的手続き |
|---|---|---|---|
| 民間企業 | ○ | × | × |
| 労働組合 | ○ | ○(団体交渉権にもとづく) | × |
| 弁護士 | ○ | ○ | ○ |
民間企業が運営するサービスは、退職の意思を伝える範囲にとどまります。報酬を得て法律に関わる交渉をすることが、弁護士法72条の禁じる非弁行為にあたるおそれがあるためです。
「有給を消化しきった日を退職日にしてほしい」と会社に求める場面は交渉にあたります。労働基準法39条にもとづく有給の日数調整まで任せたいなら、依頼先は2種類に絞られます。労働組合が運営する退職代行の一覧か、弁護士が運営するサービスのどちらかです。
依頼前に手元で確認する3点
相談の前にそろえておくと、退職届の日付と宛名がその場で決まります。
- 就業規則の退職に関する条項——提出先や様式の指定が書かれている場合があります
- 有給の残日数——退職日に書く日付の根拠になります
- 会社の正式名称と代表者名——退職届の宛名に使います
文面そのものは定型で足ります。書き方の見本は退職代行を使わずに自分で辞める方法|退職届と2週間ルールに載せた形がそのまま使えます。