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労災で休業中でも退職代行は使える?辞めた後の給付をQ&Aで整理

2026-11-05 執筆

仕事中のけがや、仕事が原因の病気で休んでいる人に向けた記事です。職場に戻る気持ちになれず、上司と話すのも負担に感じている場面を想定しています。

結論として、労災で休業中でも退職代行で辞めることはできます。労災保険から受け取る給付は、退職しても打ち切られません。労災保険法12条の5に、給付を受ける権利は退職によって変わらないと定められています。気をつけたいのは、在職中の期間の申請書に会社の証明が要る点と、労災の認定そのものに争いがある場合です。

Q. 労災で休んでいる最中に辞められる?

A. 本人から退職を申し出ることは、労災で休業中でも制限されていません。労働基準法19条は、仕事が原因のけがや病気で休業している期間とその後30日間の「解雇」を禁じています。この決まりは会社側からの解雇を止めるもので、本人の退職の申し出まで止めるものではありません。

正社員など期間の定めのない雇用では、民法627条により申し出から2週間で雇用が終わります。退職代行は、この退職の意思を本人に代わって会社へ伝える役割です。

Q. 退職後も労災の給付は続く?

A. 続きます。労災保険法12条の5第1項は、保険給付を受ける権利は労働者の退職によって変わらないと定めています。主な給付と退職後の扱いは次の表のとおりです。

給付中身(一般的な決まり)退職後
療養補償給付治療費や薬代。労災指定の医療機関なら窓口での負担なし治るまで続く
休業補償給付休業4日目から、給付基礎日額の60%働けない状態が続く間は続く
休業特別支給金休業4日目から、給付基礎日額の20%休業補償給付と同じ扱い

休業の最初の3日間は労災保険の対象外で、会社が平均賃金の60%以上を補償します(労働基準法76条)。給付が止まるのは、退職したときではなく、治ったと判断されたときや働けるようになったときです。

Q. 申請書の会社の証明はどうする?

A. 在職中の期間を申請するときは、休業補償給付の請求書に会社の証明欄があります。退職代行に頼む場合は、退職の連絡と一緒に「在職期間の分の請求書に、事業主の証明をお願いしたい」と伝えてもらいます。郵送で返してもらえるよう、送り先の住所も同じ連絡に含めます。

厚生労働省の請求書の記入要領では、請求する期間がすべて退職後なら事業主の証明は要らないとされています。退職前の日が1日でも含まれる場合は、証明が必要です。会社が証明を書いてくれないときは、事情を労働基準監督署に伝えて相談できます。

休業補償給付の請求には2年の時効があります(労災保険法42条)。申請を後回しにしている期間がある人は、退職の手続きと並べて進めます。

Q. 退職日まで有給を使うべき?

A. 有給を使った日は給料が出るため、その日の休業補償給付は支給されません。休業補償給付は、療養のために働けず賃金を受けない日が対象だからです。有給の日数分は給付ではなく給料として受け取る形になり、受け取る額の計算が変わります。

有給で受け取るか給付で受け取るかは、本人が選ぶことです。退職代行に依頼する前に、残っている有給の日数と退職日の希望を決めておきます。有給の消化を会社と交渉する必要がある場合は、民間企業ではなく労働組合か弁護士が依頼先になります。

Q. 会社が労災と認めていない場合は?

A. 労災かどうかを判断するのは会社ではなく、労働基準監督署です。会社が協力しなくても、本人が労働基準監督署へ請求書を出せます。

認定をめぐって会社と争いがある場合は、依頼先の選び方が変わります。運営主体ごとの対応範囲は次のとおりです。

  • 民間企業: 退職の意思と、証明の依頼を「伝える」ことまで
  • 労働組合: 団体交渉権に基づき、証明や退職条件について会社と交渉できる
  • 弁護士: 交渉に加え、損害賠償の請求など法的手続きまで対応できる

労災保険とは別に、会社の安全への配慮が足りなかったとして損害賠償を求める場合があります。裁判などの法的手続きで請求を進められるのは弁護士だけです。そこまで考えている人は、弁護士が運営する業者や法律事務所が依頼先の候補です。業者ごとの運営主体と料金は退職代行の業者を条件で比較するページに、公式サイトの確認値で並べています。

Q. 退職後の健康保険や失業手当は?

A. 労災の治療費は労災保険から出るため、労災のけがや病気の治療に健康保険証は使いません。ほかの病気で受診するために、退職後は任意継続か国民健康保険、家族の扶養のいずれかへ切り替えます。

失業手当(雇用保険の基本手当)は「働ける状態」が前提です。療養で30日以上続けて働けない場合は、ハローワークで受給期間の延長を申請できます。仕事が原因でない病気で休んでいる場合は、健康保険の傷病手当金の対象です。退職後に受け取る条件は退職後の傷病手当金を表で整理した記事にまとめています。休職制度を使っている人は休職中の退職代行の記事もあわせて確認してください。

依頼前に手元でそろえる情報

手続きを郵送で完結させるには、次の情報を業者に伝える前に書き出しておくと止まりません。

  • けがや病気が起きた日と、休業を始めた日
  • 労災の請求をすでに出したか、労働基準監督署からの通知があるか
  • 通っている医療機関の名前と、次の受診予定日
  • 会社に返す貸与品と、受け取りたい書類(離職票など)
本記事は労災保険法・労働基準法・民法の一般的なしくみを整理したもので、個別の給付の可否や労災の認定を判断するものではありません。請求書の書き方や給付の条件は、管轄の労働基準監督署にご確認ください。会社と認定や賠償をめぐって争いになっている場合は、弁護士や労働局の総合労働相談コーナーなど公的な窓口へご相談ください。体調に関わる判断は主治医にご相談ください。