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新卒・試用期間でも退職代行は使える?損害賠償のリスクと選び方

2026-08-12 執筆

「入社したばかりで辞めたいなんて言い出せない」「試用期間中に辞めたら損害賠償と言われた」——新卒や入社直後の退職では、こうした不安がよく聞かれます。この記事では、新卒・試用期間でも退職代行を使えるのか、そして新卒がぶつかりやすい「脅し」への一般的な考え方を、表を中心に整理します。特定の業者をおすすめするものではなく、判断材料をそろえることを目的としています。

結論——新卒・試用期間でも退職代行は使える

まず前提として、退職は勤続年数に関係なく認められた労働者の権利です。入社1週間でも、試用期間中でも、退職の意思を伝えること自体に制限はありません。期間の定めのない雇用(いわゆる正社員など)であれば、民法627条により、退職の意思を伝えてから2週間が経過すれば雇用は終了します。会社の承諾は必要ありません。

「試用期間だから辞められない」ということはなく、むしろ試用期間は労働者・会社の双方が向き不向きを見る期間という位置づけです。その「意思を伝える」部分を本人に代わって行うのが退職代行です。

新卒がぶつかりやすい「脅し」と、一般的な考え方

新卒の退職では、会社側が引き止めのために強い言葉を使うことがあります。よく聞かれるものを、一般論として整理すると次のとおりです。

言われがちなこと一般的な考え方(一般論)
「試用期間中に辞めたら損害賠償だ」退職したこと自体を理由に賠償を請求するのは簡単ではありません。労働者には退職の自由があり、通常の退職で賠償責任が生じるとは考えにくいためです。
「研修費・教育費を返せ」会社が一方的に費用の返還を強制できるとは限りません。ただし契約内容によって扱いが変わることもあり、個別判断が必要です。
「後任が育つまで辞めさせない」後任の有無は会社側の都合であり、退職そのものを拒否する根拠にはなりにくいと考えられます。

あくまで一般的な整理であり、雇用契約の内容や個別の事情によって話が変わることもあります。実際に金銭を請求された、あるいは請求をちらつかせられて強い不安がある場合は、後述する運営主体の違いを踏まえ、交渉や法的対応ができる窓口に相談するのが安心です。

運営主体で「できること」が変わる

退職代行は「どこに頼んでも同じ」ではありません。運営主体が「民間企業」「労働組合」「弁護士」のどれかによって、対応できる範囲が大きく変わります。

運営主体できること新卒のケースでの目安
民間企業退職意思の伝達のみ引き止めを止めて辞めたいだけなら選択肢になる。交渉は不可。
労働組合伝達+団体交渉権に基づく有給消化・未払金などの交渉短期間でも有給が付与されている、未払い残業代がある場合に対応の幅が広い。
弁護士伝達・交渉+訴訟等の法的手続き賠償や研修費返還を強く求められ、法的トラブルに発展しそうな場合に対応可能。

ポイントは「交渉」です。弁護士でない者が報酬を得て会社と交渉することは、弁護士法72条が禁じる非弁行為(ひべんこうい)にあたるおそれがあります。そのため民間企業の退職代行は、退職の意思を伝えることはできても、「有給を消化させてほしい」「返還請求を取り下げてほしい」といった話し合いはできません。運営主体ごとの違いは退職代行とは?3つの運営主体の違いで詳しく整理しています。

入社直後だと有給はどうなる?

有給休暇は労基法39条で、入社から6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に付与されると定められています。つまり入社直後の新卒の場合、まだ有給が付与されていないことが多く、その場合は「有給を消化してから辞める」ことは想定しにくくなります。

一方で、会社によっては入社時から有給を前倒しで付与する制度を設けていることもあります。自分に有給があるかどうかは就業規則や給与明細で確認できます。もし付与されていて消化したい場合、その交渉は民間企業の退職代行では対応できないため、労働組合運営や弁護士運営を検討することになります。有給まわりの考え方は退職代行で有給消化はできる?もあわせてご覧ください。

新卒が業者を選ぶときに確認したい3点

新卒・試用期間での退職では、次の3点を確認しておくと判断しやすくなります。

  • 運営主体が明確か——運営会社名・労働組合名・弁護士名(所属)が公式サイトで確認できるか。運営主体が分からない業者は避けるのが無難です。
  • 自分のケースに交渉が必要か——引き止めを止めて辞めたいだけなら民間でも足りますが、賠償や研修費返還を強く求められているなら弁護士運営を検討します。
  • 料金と対応範囲が見合っているか——安さだけでなく、必要な対応(交渉の可否など)が含まれているかを確認します。料金や対応範囲を客観的に見比べたい場合は業者を条件で比較するから確認できます。

選び方の基準は失敗しない退職代行の選び方でも客観的な観点から整理しています。

本記事は一般的な情報の整理であり、雇用契約の内容や個別の事情によって取り扱いは異なります。「必ず辞められる」「絶対に賠償されない」といったことを保証するものではありません。損害賠償や研修費の返還を実際に請求された場合や、有給・未払金など交渉ごとが絡む場合は、労働組合運営・弁護士運営のサービス、または労働基準監督署などの公的な相談窓口の利用も検討してください。