パート・アルバイトでも退職代行は使える?費用対効果と選び方を解説
2026-08-13 執筆
「パートやアルバイトでも退職代行を使っていいの?」——結論からいうと、雇用形態がパート・アルバイトであっても退職代行を利用することはできます。ただし、正社員に比べて月々の収入が少ないぶん、料金と得られるメリットのバランス(費用対効果)は正社員以上に意識したいところです。この記事では、パート・アルバイトが退職代行を使うときの考え方と、業者を選ぶときの観点を客観的に整理します。特定の業者をおすすめするものではなく、判断材料をそろえることを目的としています。
結論——パート・アルバイトでも退職の権利は同じ
まず押さえておきたいのは、退職が法律で認められた労働者の権利であることは、正社員でもパート・アルバイトでも変わらないという点です。期間の定めのない雇用であれば、民法627条により、退職の意思を伝えてから2週間の経過で雇用は終了します。「パートだから」「学生バイトだから」といって辞められない、ということは基本的にありません。
退職代行は、この「退職の意思を会社に伝える」部分を本人に代わって行うサービスです。したがって、パート・アルバイトでも仕組みとしては問題なく利用できます。なお、これはあくまで一般論であり、契約内容や個別の事情によって取り扱いが異なる場合があります。
注意したいのは「期間の定め」がある契約のケース
パート・アルバイトのなかには、契約期間が決められている「有期雇用」の場合があります。この場合、期間の定めのない正社員とは考え方が少し異なります。有期雇用は原則として契約期間の満了まで働くことが前提ですが、民法628条では「やむを得ない事由」があるときには途中で契約を解除できるとされています。また、一定期間を超えて働いている場合には途中解約が認められやすくなるという考え方もあります。
ここは判断が難しいところなので、契約期間が残っている状態で辞めたい場合は、後述する運営主体の違いを踏まえて相談先を選ぶとよいでしょう。有期雇用の退職については契約社員・派遣の退職代行でも整理していますが、契約社員向けの内容が中心のため、あわせて参考程度に確認してください。
正社員との費用対効果の違い
退職代行の料金は、多くの業者で雇用形態にかかわらず一律、あるいはパート・アルバイト向けに正社員より安く設定されている場合があります。ここで意識したいのが「費用対効果」です。パート・アルバイトは月々の収入が正社員より少ないことが多いため、同じ料金でも家計に占める負担感は大きくなりがちです。
一方で、「自分で辞めると言い出せずに何か月も働き続けてしまう」「シフトを盾に引き止められる」といった状況が続くくらいなら、費用を払って早く区切りをつけるほうが結果的に良いと感じる人もいます。料金の絶対額だけでなく、「それによって何が解決するのか」をあわせて考えると判断しやすくなります。
| 比べる視点 | 考え方のポイント |
|---|---|
| 料金の負担感 | 月収に対する割合で見る。正社員より収入が少ないぶん、負担感は大きくなりやすい |
| 解決したい悩み | 「意思を伝えるだけ」でよいのか、有給消化や未払い賃金の交渉が必要か |
| 契約の種類 | 期間の定めのない雇用か、有期雇用か。有期の場合は運営主体選びが重要 |
運営主体による対応範囲の違い
退職代行は「どこに頼んでも同じ」ではありません。運営主体が「民間企業」「労働組合」「弁護士」のどれかによって、できることが変わります。
| 運営主体 | できること | できないこと |
|---|---|---|
| 民間企業 | 退職意思の伝達のみ | 勤務先との「交渉」は不可 |
| 労働組合 | 伝達+団体交渉権に基づく交渉 | 訴訟等の法的手続きは不可 |
| 弁護士 | 伝達・交渉+訴訟等の法的手続き | — |
ポイントは「交渉」です。弁護士でない者が報酬を得て勤務先と交渉することは、弁護士法72条が禁じる非弁行為(ひべんこうい)にあたるおそれがあります。パート・アルバイトでも、たとえば「消化していない有給がある」「未払いのシフト分の給与がある」といった交渉ごとがある場合は、民間企業の退職代行では対応できません。この場合は団体交渉権を持つ労働組合運営や、法的対応まで可能な弁護士運営を検討することになります。運営主体ごとの違いは退職代行とは?3つの運営主体の違いで詳しく整理しています。
「意思を伝えるだけ」でよいなら料金の安い選択肢もある
もし交渉が必要なく「とにかく退職の意思を伝えたい」というだけであれば、料金を抑えたサービスを選ぶという考え方もあります。たとえば民間運営の退職代行EXITは初回15,000円(2回目以降10,000円。2026-09-18時点の公式サイト確認値)と、比較的抑えめの料金設定です。ただし民間運営のため、対応範囲は退職意思の伝達にとどまり、会社との交渉はできません。
一方、有給消化などの交渉も視野に入れたい場合は、労働組合運営で料金が抑えめの退職代行ガーディアン(19,800円・追加費用なし。2026-09-18時点の公式サイト確認値)のような選択肢もあります。労働組合運営のため団体交渉権に基づく交渉に対応するとされています。あくまで「自分のケースに何が必要か」を起点に選ぶことが大切です。料金や対応範囲を条件で見比べたい場合は、業者を条件で比較するから確認できます。
パート・アルバイトが業者を選ぶときに確認したいこと
パート・アルバイトが退職代行を選ぶときは、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。
- 運営主体が明確か——運営会社名・労働組合名・弁護士名(所属)が公式サイトで確認できるか。運営主体が分からない業者は避けるのが無難です。
- 料金と自分の悩みが釣り合っているか——月収に対する負担感と、それによって解決することを見比べる。
- 交渉が必要か——有給や未払い賃金の交渉が必要なら、労働組合運営か弁護士運営を検討する。
- 契約の種類——有期雇用で契約期間が残っている場合は、途中解約に関わる話が絡むため、対応範囲の広い運営主体が無難です。
選び方の基準は失敗しない退職代行の選び方でも客観的な観点から整理しています。