教員・教師は退職代行を使える?公立と私立で変わる手続きを整理
2026-09-12 執筆
担任を持ったまま辞めるのは無責任ではないか。退職を切り出したら「年度末まで待ってほしい」と言われた。教員の退職には、学校ならではの重さがついて回ります。この記事は、教員・教師が退職代行を検討するときの判断材料を整理したものです。特定の業者をすすめる内容ではありません。
この記事でわかること
- 公立と私立で退職の根拠となるルールが違うこと
- 年度途中で辞めることの法律上の位置づけ
- 運営主体3類型で変わる対応範囲
公立と私立で分かれる前提
教員の退職手続きは、勤務先が公立か私立かで前提が変わります。私立学校の教員は学校法人と雇用契約を結ぶ労働者で、民間企業の会社員と同じ枠組みに入ります。公立学校の教員は地方公務員にあたり、退職は任命権者の承認を受ける形が基本です。
退職代行が担うのは「本人に代わって退職の意思を伝える」部分です。意思の伝達自体は、公立でも私立でも依頼できます。違いが出るのは、その後の手続きの進み方です。
公立学校の教員は地方公務員
公立学校の教員には地方公務員法が適用されます。民間の会社員に適用される民法627条の2週間ルールが、そのまま当てはまるわけではありません。
公務員の退職は、退職願を出して任命権者の承認(免職)を受ける流れが基本です。教員の場合、任命権者は都道府県や市の教育委員会にあたります。実務では本人の意思が固ければ承認されるのが一般的とされます。申し出から自動で雇用が終わる民間の枠組みとは考え方が違います。
細かい手続きは自治体の条例や規則で定められています。「公立の教員はこう辞める」と一律には言えません。公務員全体の退職手続きは公務員は退職代行を使える?に整理しています。
私立学校の教員は民法627条
私立学校の教員は、学校法人と結んだ雇用契約に基づいて働く労働者です。期間の定めのない雇用であれば、民法627条により、退職の申入れから2週間の経過で雇用が終了します。校長の承諾は退職の要件ではありません。
就業規則に「退職は3か月前までに申し出ること」と定められている学校もあります。就業規則の定めと民法627条の関係は解釈が分かれる論点のため、ここは一般論として理解してください。実際の運用は学校とのやり取りになる場面もあります。
年度途中の退職と担任の扱い
年度末まで勤めるべきという考え方は慣行であり、法律上の義務ではありません。担任や部活動の顧問を持っていることも、退職を法的に妨げる理由にはなりません。
後任の手配は学校側の責任です。「代わりが見つかるまでは認められない」と言われても、それが退職の条件になるわけではありません。引き止めの言い分ごとの法的な位置づけは退職を強引に引き止められたら?にまとめています。
授業の進度や生徒の記録など、引き継ぎ資料を可能な範囲で用意しておくと手続きは進めやすくなります。ただし、出勤して直接引き継ぐ義務が当然に生じるわけではありません。引き継ぎの考え方は退職代行を使うと引き継ぎはどうなる?で整理しています。
有期契約の講師の注意点
常勤講師や非常勤講師など、契約期間が定められた立場は考え方が変わります。期間の定めのある雇用は、契約期間の満了まで働くことが原則とされます。
途中で辞める道がないわけではありません。民法628条は、やむを得ない事由があるときは契約期間の途中でも直ちに契約を解除できると定めています。何が該当するかは体調やハラスメントなど状況ごとの個別判断で、一律の線引きはありません。
労働基準法附則137条という例外もありますが、対象は契約期間が1年を超えるものに限られます。1年ごとに更新する講師の契約は対象外になる場合があります。有期雇用の扱いは契約社員・派遣でも退職代行は使える?で詳しく整理しています。
運営主体3類型でできること
退職代行は、どこに頼んでも同じではありません。運営主体が民間企業・労働組合・弁護士のどれかで、対応できる範囲が変わります。
| 運営主体 | できること | 教員のケースでの目安 |
|---|---|---|
| 民間企業 | 退職意思の伝達のみ | 伝えるだけで足りる場合の選択肢。学校との交渉は不可。 |
| 労働組合 | 伝達+団体交渉権に基づく年休消化・未払金などの交渉 | 私立で有給や未払いの手当を交渉したい場合に対応範囲が広い。 |
| 弁護士 | 伝達・交渉+訴訟等の法的手続き | 公立の手続きが絡む場合や、賠償を求められた場合にも対応可能。 |
分かれ目は「交渉」です。弁護士でない者が報酬を得て学校と交渉することは、弁護士法72条が禁じる非弁行為(ひべんこうい)にあたるおそれがあります。民間企業の退職代行は、退職の意思を伝えることはできても、「有給を消化させてほしい」といった話し合いはできません。
公立学校の教員は地方公務員のため、民間の労働者を前提とした団体交渉の枠組みがそのまま当てはまらない面があります。公立で込み入ったやり取りが予想される場合は、法的な対応まで視野に入る弁護士運営が対応範囲の面で無難です。3類型の違いは退職代行とは?3つの運営主体の違いで詳しく整理しています。
教職員に対応するサービス
公務員特化をうたうサービスもあります。公務員の退職代行は、自衛隊・警察官・消防・教職員などへの対応を掲げる弁護士運営のサービスです。運営主体は弁護士法人川越みずほ法律会計で、料金は正社員55,000円(税込・年休消化込み)、全額返金保証があります(2026-09-18時点の公式サイト確認値)。弁護士運営のため、交渉や法的手続きまで対応範囲に含まれます。
特化をうたっているかどうかより、自分の状況に運営主体が合っているかが判断の軸になります。料金と対応範囲を条件で見比べる場合は業者を条件で比較するから確認できます。
依頼前に確認する3点
- 勤務先が公立か私立か——地方公務員か学校法人の労働者かで、手続きの根拠が変わります。申し込み時に伝えてください。
- 雇用契約に期間の定めがあるか——常勤講師・非常勤講師は、契約書の期間と勤続月数を先に確認してください。
- 交渉が必要か——意思を伝えるだけで足りるのか、年休消化や未払いの手当が絡むのかで、選ぶ運営主体が変わります。
業者を選ぶ観点は退職代行の選び方でも客観的な基準から整理しています。