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退職代行で身元保証人に連絡はいく?責任の範囲と期限を整理

2026-10-24 執筆

入社のときに、親や親族に「身元保証書」へ署名してもらった人は少なくありません。退職代行を使うと、その保証人に会社から連絡が行くのではと心配になります。

先に結論を書きます。会社が保証人へ連絡する可能性はあり、それを確実に止める方法はありません。一方で、法律にそって退職すること自体は、保証人がお金を払う理由にはならないのが一般論です。保証人の責任は、本人が在職中に会社へ損害を与えた場合に限られ、期間と金額にも上限があります。

会社から保証人へ連絡が行く可能性

会社が身元保証人へ電話や手紙で連絡することを、直接禁じる条文はありません。本人と連絡がつかないとき、会社が保証人を「連絡先の1つ」として使うことがあります。

身元保証法(身元保証ニ関スル法律)3条は、次の2つの場合に会社が保証人へ通知する義務を定めています。

  • 本人に業務上ふさわしくない点や不誠実な行いがあり、保証人の責任につながるおそれがあると知ったとき
  • 本人の仕事内容や勤務地を変え、保証人の責任が重くなるか、監督が難しくなるとき

退職そのものが上の通知事由にあたるかは、条文には書かれていません。会社ごとの判断になるため、「連絡は来ない」と言い切ることはできません。

同法4条により、通知を受けた保証人は、その先の期間について保証契約を解除できます。通知が届いた段階で、保証人は自分から保証を終わらせる手段を持っています。

退職だけで保証人が払う義務はない

身元保証は、本人が仕事の中で会社に損害を与えたとき、その賠償を保証人が引き受ける契約です。退職の申し入れは民法627条で認められた権利で、正社員など期間の定めがない雇用では、申し入れから2週間で契約が終わります。

権利にそって辞めることは、会社への損害を生む行為とは扱われにくいのが一般論です。本人が賠償責任を負わない場面で、保証人だけが払う理由はありません。本人側の賠償リスクは退職代行と損害賠償を条文から整理した記事にまとめています。

注意が要るのは、在職中に会社の備品を壊した、お金の扱いで問題があったなど、退職とは別の事情があるケースです。そうした事情があると、保証人へ請求が向かう余地が残ります。

保証の期限と金額の上限

身元保証には、法律で期限と上限の仕組みがあります。保証書を書いた時期によって、保証が今も続いているかが変わります。

ポイント根拠内容(一般論)
期間の定めがない場合身元保証法1条契約から3年で終わる(商工業見習者は5年)
期間を定めた場合身元保証法2条5年を超えられない。更新しても1回5年まで
金額の決め方身元保証法5条裁判所が会社の監督の落ち度などの事情をすべて考えて額を決める
極度額(上限額)民法465条の2個人の根保証は上限額を定めないと無効

民法465条の2は2020年4月1日に施行されました。同日以降に結んだ身元保証契約もこの規定の対象になる、という解釈が一般的です。保証書に上限額の記載があるかどうかで、契約の有効性が変わる可能性があります。

入社から3年以上たっていて、保証書に期間の記載がなければ、保証はすでに終わっている可能性があります。更新の書類に署名した覚えがあるかも、あわせて確かめてください。

依頼前に本人が確かめる3つのこと

保証人への影響を小さくしたいなら、依頼前に手元の情報をそろえておくと、業者への相談がスムーズになります。

  • 身元保証書の控えの有無と、署名した日付・期間・上限額の記載
  • 在職中に会社と金銭や備品でもめている事情がないか
  • 保証人に、退職することを先に伝えておくかどうか

保証人が親であれば、退職前に一言伝えておくと、会社から突然電話が来ても慌てずにすみます。親に知られたくない事情がある場合の経路別の整理は退職代行は親にバレるかをQ&Aで整理した記事を参照してください。

運営主体で変わる依頼できる範囲

「保証人や家族には連絡しないでほしい」という本人の希望は、どの運営主体の退職代行でも会社へ伝えられます。ただし、会社がその希望に従う義務まではありません。

民間企業の退職代行は、退職の意思と本人の希望を伝えるだけで、会社との交渉はできません。会社が「保証人に損害を請求する」と言ってきた場合、その話し合いは民間には任せられません。労働組合は団体交渉権にもとづいて退職条件の交渉ができ、訴訟などの法的手続きまで必要なら弁護士が対応できます。

金銭の請求をほのめかされている、在職中のトラブルを抱えているといった事情があるなら、最初から交渉や法的対応ができる依頼先を選ぶと手戻りを減らせます。弁護士が運営する業者の料金と対応範囲は、公式サイトの確認値を弁護士運営の退職代行を比較するページに並べています。

本記事は身元保証法・民法の条文をもとにした一般的な情報の整理であり、個別の契約内容や事情によって結論は変わります。保証書の効力や請求の妥当性など具体的な判断が必要な場合は、弁護士や法テラス、各都道府県の労働相談窓口など専門の窓口に相談してください。