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雇用契約書がなくても退職代行は使える?口約束で働く人のQ&A

2026-10-29 執筆

「面接で『来週から来て』と言われただけで、契約書は一枚ももらっていない」。小さな店や会社では、こうした働き始め方が珍しくありません。いざ辞めようとすると、書類がないことが不安になります。

結論から言うと、雇用契約書がなくても退職代行は使えます。雇用の契約は書面がなくても、働くことと給料を払うことの合意で成立するためです。ただし契約の中身が分からないままだと、退職日の見通しが立てにくくなります。依頼前に、手元の資料で確かめておくことを4つのQ&Aで整理します。

Q. 契約書がないのに雇われていると言える?

A. 言えます。労働契約法6条は、働くことと賃金を払うことに双方が合意すれば、労働契約が成立すると定めています。書面に署名したかどうかは、成立の条件になっていません。

一方で、会社には働く人へ条件を示す義務があります。労働基準法15条は、契約を結ぶときに賃金や労働時間などを明示するよう会社に求めています。一部の項目は書面などで渡す決まりです。

つまり「契約書がない」は、働く側が不利になる理由ではありません。会社側が明示の手続きを済ませていない可能性がある状態です。

Q. 代わりに確かめられる資料は?

A. 雇用契約書や労働条件通知書がなくても、雇われていたことや条件の一部は、ほかの資料から読み取れます。退職代行に依頼するときにも、次の資料が会社の正式名や雇用形態を伝える材料になります。

資料読み取れること
給与明細会社の正式名・支給額・社会保険料の天引きの有無
求人票・求人サイトの画面募集時の雇用形態・時給や月給・勤務時間
採用時のメールやLINE勤務開始日・口頭で決めた条件のやり取り
源泉徴収票支払った会社名・前年の支払額
雇用保険の加入を示す書類雇用保険に入っているかどうか

どれも見つからない場合は、勤務先の住所と名前、働き始めた時期、給料の受け取り方をメモにまとめます。業者への伝え方は退職代行に伝える情報メモの記事で整理しています。

給料を「報酬」として受け取り、自分で請求書を出していた人は、雇用ではなく業務委託として扱われている可能性があります。辞め方の考え方が変わるため、業務委託でも退職代行は使えるかの記事を先に確認してください。

Q. 退職日はいつになる?

A. 契約期間の取り決めがあるかどうかで変わります。期間を決めていない雇用なら、民法627条により、辞める意思を伝えてから2週間で雇用が終わるのが原則です。

「3か月だけ」「年度末まで」など期間を決めて雇われていた場合は、有期雇用にあたります。有期雇用の途中で辞めるには、原則として民法628条の「やむを得ない事由」が必要になります。

口約束だと、期間の取り決めがあったかどうか自体があいまいになりがちです。求人票の「雇用期間」欄や採用時のメッセージに、期間の記載があるかを見てください。どちらにあたるかの最終的な判断は個別の事情によるため、ここでの説明は一般論です。

労働基準法15条2項には、明示された条件が実際と違う場合、働く人がすぐに契約を解除できるという定めもあります。ただし「明示された条件」が確認できることが前提なので、書類がない場合は使える場面が限られます。

Q. 有給休暇はもらえる?

A. 契約書の有無は関係ありません。労働基準法39条により、6か月続けて勤務し、出勤すべき日の8割以上出勤していれば有給休暇が付与されます。パートやアルバイトでも、勤務日数に応じた日数が付与されます。

ただし、契約書がない職場では、有給の残り日数を会社が示していないことがあります。給与明細に残日数の欄がなければ、働き始めた時期と週の勤務日数を控えておくと、話を進める材料になります。

交渉の要否で変わる依頼先

書類がない職場では、退職日や有給、最後の給料の額で会社と認識がずれることがあります。認識のずれを話し合いで埋める必要があるかどうかで、選ぶ運営主体が変わります。

  • 民間企業: 退職の意思を伝えるところまで。条件の話し合いはできない
  • 労働組合: 団体交渉権にもとづき、有給の消化や未払いの給料について交渉できる
  • 弁護士: 交渉に加え、訴訟などの法的手続きまで対応できる

民間企業が会社と条件を話し合うと、弁護士法72条が禁じる非弁行為にあたるおそれがあります。有給を使い切りたい場合や給料の未払いが心配な場合は、最初から労働組合か弁護士の運営先を選びます。交渉できる運営先なら、対応が途中で止まりにくくなります。運営主体ごとの料金と対応範囲は退職代行の業者を条件で比較するページに、各社公式サイトの確認値として並べています。

なお、条件を書面で示してもらえなかったこと自体は、労働基準監督署に相談できる事柄です。退職代行への依頼とは別の窓口として覚えておくと、選べる手段が増えます。

本記事は雇用契約書がない場合の考え方を一般論として整理したもので、個別の事案への法的な判断ではありません。雇用か業務委託か、有期か無期かの判断は働き方の実態によって変わります。判断しにくい場合は、労働組合運営や弁護士運営のサービスに相談してください。労働基準監督署などの公的な相談窓口も使えます。